共有持分

こんばんは。

台風は大したこと無かったため予定通りの一日を過ごすことが出来ました。

さて、

ここのところ不動産の共有持分についての御相談が多いので少しだけ触れておこうかと。

共有持分とはある不動産の全てを所有している訳では無く、そのうちの「割合」を所有していることを指します。

2分の1だったり10分の1だったり100分の1だったり。

1648分の432というような持分だって存在します。

で、

この持分を放棄したい、という御相談が結構あります。

放棄したい理由は固定資産税の負担から逃れたいというケースもあります。

が、御相談で多いのは山林などのように不動産として価値が殆ど無いような共有持分を放棄したいというお話です。

価値が無くても大切な不動産はあります

民法上は持分の放棄は自由にすることが可能となっております。

民法第255条
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

このように自由に放棄することが可能です。

解釈上、他の共有者に放棄の意思表示をすれば良いことになっていますので極端な話、早いもん勝ちなイメージでしょうか。

後々の手続きを考えて内容証明郵便で他の共有者に書面にて「放棄しまーす」という形で通知をします。

とは言え、持分の放棄をしたからと言って登記簿上から放棄した人の名前が消える訳ではありません。

不動産登記の手続きは放棄した者とその他の共有者が「共同」ですることになっています。

このため、他の共有者が登記の手続きに協力してくれない場合はいつまでたっても登記簿上から名前が消えることはありません(相続が開始すれば話は別)。

ではどうするか、なのですが訴訟を起こすしかありません。

「登記を引き取れ!」という訴訟を起こし、勝訴すれば手続きが可能となります。

この訴訟の事も考えて放棄の意思表示を「内容証明郵便で送っておく」ことが必要な訳です。

このように解決までの道筋は一応はあるのですが「なーんだ、訴訟すればいいのか」とはいかないですよね。

そもそも、共有持分における他の共有者は身内である(遠い親戚含む)ケースが殆どであり、その相手に対して訴訟を起こすというのは穏当ではありません。

親族間でトラブルになるケースもあります。

このため、法律上は持分の放棄が出来ることになっていますが現実問題として話はそうスムーズには行かない感じです。

共有者同士で話し合い、誰かの名義に一本化することが望ましいとも言えますが、固定資産税の負担が大きい場合などは話が中々進まないと思います。

仮に共有者の一人に相続が開始した場合はその持分は相続人に名義が移ります。

この時、相続放棄をしてしまえば持分を相続人が引き受ける必要はなくなります。

しかし、相続放棄をするということはその他の財産全てを放棄することになるため「不動産の持ち分だけを相続放棄します」ということは出来ません。

こうしたことが原因で共有者がどんどん増えていき、登記もほったらかしにされ、共有者が何人いるかもよく分からない、という負のスパイラスに陥ります。

だからこそ「一日でも早く持分を放棄したいんだ!」となる訳ですが…結局は堂々巡りのような話になりがちです。

ただ、ケースによっては解決の糸口を見つけることも可能ですのでお困りの方は御相談下さい。

さてさて、台風一過の影響で少しは晴れてくれると良いですね。

まだまだ暑さが残りますが、頑張りましょう!